

七不思議002
ゴーストプレイヤー
「スクールオブロック(SOR)学園」は、一見するとただのエリート音楽学校に見える。
しかし、その壁の中には、世界を揺るがすほどの秘密が噂されている。
宇宙から飛来したという不思議な宝石を用いて作られた伝説の七楽器――
伝説の楽器をすべて集めた者は世界を思いのままに操る力を手に入れることができるという。
その伝説の楽器を集めたことで、学園はここまで大きくなったと噂されている。
しかし、伝説に語られる力は人に恵みを与えるだけではない。
大きすぎる力は、時に人を狂わせ、凄惨な事件を引き起こす。
それゆえに、血なまぐさい噂がSOR学園には蔓延っているのだ。
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SOR学園の音楽祭といえば、「学園による音楽祭」としては世界最高峰である。
外部からの賓客は音楽界に影響を与える権力者、著名人ばかりであり、参加者は世界最高峰の
演奏者による「グループ」に限られる。SOR音楽祭に参加した生徒は、それだけで未来の
音楽界を担う天才達であるという証明になる。
SOR学園の生徒6人組によって結成された音楽グループ「ゴーストプレイヤー」は、
最先端の音楽を、クラシックの技術で演奏することを目的としたグループだ。
グループ名は、SOR学園に伝わる怪談の一つ……誰もいない教室で
楽器を演奏するという「亡霊の演奏家」にちなんでつけられた。
ピアノ、バイオリン、チェロ、ビオラ、コントラバス。
そして、彼らを統括する指揮者(マネージャー)。演奏力だけではなく、見た目や
高いプロデュース力をもって、動画サイトで圧倒的な人気を博した「ゴーストプレイヤー」は
様々なコンサートにゲスト招待され、SOR音楽祭の出場グループへと選ばれた。
栄光の未来が約束されているはずの六人……しかし、ひとつの噂により状況は一変した。
マネージャーが悪評が広まったことでSOR音楽祭への出演が取り消されたのだった。
落胆する一同に、マネージャーは妙なことを話し始めた。
「伝説の楽器を手に入れる方法を発見した」
それは、SOR学園に伝えられる御伽噺(おとぎばなし)。
「ひとつだけ、なんでも願いを叶えられる」という、出所不明の都市伝説だ。
そんな「伝説の楽器」が手に入ったと、マネージャーから連絡を受け
ある日の放課後、集められた一同。
そこで事件は起こった。
レッスン室に入ったバイオリンが、ピアノ盤に体を預けるようにして死んでいる
マネージャーを発見したのだ。
響き渡る悲鳴を聞きつけ、メンバーたちがレッスン室に集まる。
マネージャーの死体を見て、パニックになった一同が、次々に悲鳴を上げる。
ピアノ「なんで……なんでこんなこと!」
ビオラ「首に傷が……殺されたんだ!」
しばらくの阿鼻叫喚の後、特にマネージャーと仲がいい二人が駆け寄り、死体に縋り寄る。
台風のせいで、外は叩きつけるような雨が降り続けている。
チェロ「あの……き、教員を呼んできたほうが……いいんじゃ……」
コントラバス「この時間だぞ? それに、台風が近づいてきてるし、もう誰も残ってないはずだ」
バイオリン「……まずは警察に電話だ。」
一番最初に動揺から抜け出したバイオリンが、スマートフォンに手をかける。
しかし、その手をコントラバスが止めた。
コントラバス「待てよ。警察を呼んだら現場検証やらなんやらが始まるんだろ?
伝説の楽器が手に入らなくなるかもしれねえ」
バイオリン「……伝説の楽器、か。本当に、そんな与太話が現実にあるのか」
バイオリンが、眉をひそめる。言葉とは裏腹に、顔は少し色めき立っている。
チェロ「でも……マネージャーさんを殺した人が、居るってことですよね?」
ピアノ「もしかしたら、私たちの中の誰かが……」
全員が、全員の顔を見回し、お互いに一歩距離をとった。
ビオラ「調べてみよう……犯人が、どこかに隠れているだけかもしれないから……」
ビオラがそうつぶやき、皆が静かにうなづく。
しかし、全員の瞳には、どこか胡乱な光が宿っていた。