高校2年生の女性

SOR学園2年生の女子生徒。「ゴーストプレイヤー」ではピアノを担当している。良家の令嬢で、清楚で柔和な性格だが、心の内に激情を秘めている。

※以下は自己紹介の際のセリフになります。

「……2年のチェリストです。

あの……私、やってません。

し、信じてください。

私、そんなことできるほど大胆じゃありません。」

あなたの正体

※あなたは、伝説の楽器の鍵「血まみれの楽譜」を盗みました。

いつだって、私にとって最も価値があるのは「恋」だった……。

幼い頃から、引っ込み思案で流されやすかった私。親の勧めで始めた「チェロ」も、最初は ただの習い事でしかなかった。

けど、一つの出会いがチェロに特別な意味を与えてくれた。

とあるコンテストに出た私を、年上のヴァイオリニストさんが絶賛してくれたのだ。

「君には才能がある」と、頭を撫でてくれた。その日、チェロは私と ヴァイオリニストさん――

先輩 をつないでくれる弦(いと)となった……。

それから、先輩はいつだって、私の相談相手で、指標で、最愛の人だった。

彼に褒めて欲しくて、たくさんたくさん練習した。先輩と共に何度もコンサートに 参加するうちに、私も「将来有望な演奏家」くらいの評価を貰えるようになっていた。

時が経ち、高校生になった私は、先輩の後を追うようにして世界最高峰の 音学校――SOR学園に入学することができた。

私と先輩が一緒に通学できるのは、年齢の関係で1年だけだ。 できるだけ、たくさんの思い出を作りたい……そんな風に思っていると、さっそく 先輩から声がかかった。

同じ学園内で、音楽グループを作って活動することになり 私をメンバーに誘いたいのだという。

二つ返事で了承した私は、先輩と共に 「ゴーストプレイヤー」 として活動していくことになった。

心の底から嬉しかった。なんだか、まるで小説かドラマみたいな展開だって思った。

けど、実際に活動していくと、小説やドラマみたいに、幸福で劇的なことばかりじゃなかった。

先輩が子供のころからライバル視していた ピアニストさん に、私と同い年の 元気でアクティブな マネージャーさん ……魅力的な女の子が二人もいて、私は劣等感に 苛まれることになった。

三年の コントラベーシスト は私が嫌いな軽薄な男で、いやらしい目で 私を見てくる。

活動で忙しく、先輩を遊びに誘う時間も少なくなった。 ……まあ、そんな勇気は最初からないのだけど。

もう一つ、気に入らないことがある。ゴーストプレイヤー内の、力関係だ。

このグループでは、ピアニストさんが絶対的な権力者だった。

理由は、グループの運営責任者であるマネージャーさんが、ピアニストさんの信奉者だからだ。

私が敬愛する先輩は、 ピアニストさんとの扱いの差に、いつも不満を抱えてるみたいだった。

私のほうを見てほしいのに、先輩の心は、ピアニストさんへの対抗心と、マネージャーさんへの苛立ちに占領されていた。

私は、いつの間にか彼の視界から消えてしまっていた。

それだけじゃない。

先輩のことを見つめ続けてきた私だからわかる。

先輩は、どこかの誰かに恋をしている。このところ物思いにふけっているのをよく見るし、ため息をつくことも多くなった。

意中の相手が、マネージャーさんなのか、ピアニストさんなのか、他の誰かなのかはわからないけど。

焦燥が胸を焼き始めたころ、コントラベーシストからとある提案を受けた。

SOR学園のどこかに隠されているという、

どんな願いも叶えてくれるという「 伝説の楽器 」を手に入れるために協力しないか、と持ちかけられたのだ。

「伝説の楽器さえあれば、ヴァイオリニストはおまえに振り向いてくれる」そんな説得で 私はこの最低な男と手を組むことになった。

自分でも、なんて安い女なんだろうと思う。

だけど、先輩の愛をつかみ取ることが私にとって何より価値があることだから。

コントラベーシストと協力して、学園内のいろんな場所を探した。

行動を共にしていると、この男が最低な人間であることを嫌でも思い知る。

セクハラじみた言動を繰り返し、暴力的で、なぜか時おり、狂ったように意味不明なことを 喚き散らす。

苦痛に耐えながら探し続けても伝説の楽器はどこにも見当たらず、

わかったことは「伝説の楽器を手に入れるためには何らかの鍵が必要である」ということくらいだ。

無為に時が過ぎ去る中、私は見てしまった。先輩とマネージャーさんが学園の外で会い、何やら親密そうに話しているところを。

焦燥と、悔しさと、恐怖が胸を焦がす。

家に帰り、布団に潜り込んで爪を噛みながら「もう、手段を選んでいられない」と 覚悟を決めていた時、マネージャーさんからグループチャットに連絡が来た。

「伝説の楽器を入手する方法を見つけました。明日の放課後にレッスン室に集合してください」

驚いて飛び起きた後、もつれる思考を必死に整理した。

どうしてマネージャーさんが「伝説の楽器」を、とか、どうやって見つけたの、とか……。

しかし重要なのはそんなことではない。

伝説の楽器をマネージャーさんから奪えば私は先輩を手に入れることができるのだ。

先輩を失ったら、生きていけない。

だから、これは命をかけて果たさなければならない。

伝説の楽器を使って先輩の愛を手に入れる――それだけが、私が望むすべて。

所持品

コントラベーシストからの連絡

「みんなで集まる前に、伝説の楽器についてマネージャー から情報を引き出したい」という指示に対して 「わかりました」と返信している。 どうやらピアノの演奏が始まったすぐ後のようだ。

伝説の楽器の資料

伝説の楽器を手に入れるための情報。 「条件を満たしたとき、伝説の楽器へと変わる」 という古い資料。

恨み言ノート

マネージャーとヴァイオリニストが二人で 出かけたことに対して、恨み言がつづられている。

あなたしか知らない所持品の情報
コントラベーシストからの連絡:コントラベーシストから「みんなで集まる前に、伝説の楽器についてマネージャーから情報を引き出したい」という指示があった。了承してしまっているが消しておけばよかった。
■伝説の楽器の資料:伝説の楽器を手に入れるために集めた情報。どういう意味かは分かっていない。
■恨み言ノート:腹が立つことがあれば、ここに記して怒りを収めてきた。

当日の行動

5限課程修了の鐘が鳴った後、 私は先輩に会いに行った。

昨日、マネージャーさんとどこに出かけ何をしていたか……どうしても知りたかったから。

実習を終えて、音楽ホールから出てきた先輩を呼び止め、マネージャーさんとの 関係について問い詰めた。

彼は眉をひそめ、苛立った表情で「おまえには関係ない」と 私を突き放した。

先輩から、そんなことを言われたのは初めてだった。

やっぱり、マネージャーさんとの間に特別な何かあったのかと勘ぐってしまう。

更に先輩は、私が最近コントラベーシストとよく一緒に行動していることに対して 苦言を呈してきた。

彼が言っていることは正論だ。

コントラベーシストとは 縁を切ったほうがいい。

わかっているけど、私はカッとなって「先輩には関係ない!」と 先輩の言葉を返すように怒鳴りつけてしまった。

校舎裏まで駆けてきて、息を整えた後、自己嫌悪が私の胸に湧き上がる。

先輩に暴言を吐いてしまった……ああ、先輩、先輩……私を嫌いにならないで。

罪悪感が肩にのしかかり、後悔が頭を駆け巡る。心を落ち着かせようと中庭に出て 空を眺めた。

分厚くて黒い空は、私の気持ちを代弁しているみたいだ。

しばらくそうしていると、 さっき別れたばかりの先輩がやってきた。

思わず身を屈めて姿を隠し、こっそり観察していると、後からマネージャーさんがやってきた。

2人は、何やら真剣に話している。

それだけで、強烈な嫉妬心が首をもたげる。 荒れ狂う感情を落ちつけたくて、私は再び校舎裏へと逃げ込んだ。

校舎裏で心を静めていると、 ポツリポツリと雨が降り始めた。台風のため、まもなく 校舎を閉めるというと放送が流れる。

ふとスマートフォンがなり、取り出してみてみると春先にクラスメートから誘われて入ったグループチャットで、コントラベーシストの悪口が 綴られていた。

「女たらし」「 たまに、酔っ払いみたいにおかしな言動をする 」そして「チェリストちゃんも気を付けて」と。

全部、もう知ってることだった。

次々流れるコントラベーシストの悪口を見ていると、当の本人からメッセージが来た。

まるで文字化けしたような意味不明の文章で「大丈夫ですか」と送り返してみたが返信がない。

もう無視することにして、私は一度お手洗いに行っておこうと校舎内に入った。

廊下に出ると ビオリストさん が男子トイレから出てくるのが見えた。

柔和な彼らしくない、なんだか焦っている表情でどこかへと走っていく。

お手洗いを済ませて、再び校舎裏まで来ると ピアノの旋律が聞こえ始めた。

何度聞いても感動を禁じ得ない美しい旋律は、間違いなくピアニストさんのものだ。

思わず聞きほれていると、ようやくコントラベーシストから連絡が返ってきた。

「みんなで集まる前に、伝説の楽器についてマネージャーから情報を引き出したい」 たしかにその通りだと感じた。

「なんでも願いが叶う」というが、何回でも叶えられるのかはわからない。

マネージャーが気まぐれにお願い事を一つすれば、伝説の楽器が力を失ってしまう なんてことも十分考えられる。

なら、全員が集まる前に情報を得て、先に伝説のが楽器を 回収してしまった方がいいに決まってる。

そう考えて、私は簡潔に了承の答えだけ返した。 荒波のような想いに突き動かされて、私はマネージャーさんがいる (とコントラベーシストに教えられた)レッスン室へと向かった。

レッスン室に向かっている最中、流麗なピアノの旋律が終わりを迎えた。

部屋の中には、ピアニストさんもいるようだ……。

少し躊躇したが、私は覚悟を決めてレッスン室の前に移動し、扉に手をかける。

勢いよく開くと、 椅子に座って ピアノに突っ伏する マネージャーさんの姿が見えた。

ピアニストさんの姿は見えないから、私が来るまでの間に出て行ったのだろう。

もしかして、珍しく喧嘩でもしたのか……だとしたら、泣いているのかもしれない。

気を使って、小さな声でマネージャーさんの名前を呼んでみたけど反応がない。

仕方なく私はマネージャーさんに近寄り、顔を覗き込んだ。

そして……思わず喉が震えて小さな悲鳴が漏れた。 明らかに死んでいた。

マネージャーさんは、目を開いたまま、呼吸一つせず静かにピアノに寄り添っていた。

たまらず目を背けると、 床に白い錠剤がばらまかれ、血塗れの楽譜が落ちていたのが見て取れた。

なぜか、その楽譜に視線が釘付けになり、視界が揺れる。

直感で分かった。 これが伝説の楽器の鍵なのだと。

私は急いで楽譜を拾い上げ、 部屋の中を確認した。こんな場面を見られたら、犯人だと まちがわれてもしかたない。

ふと、死体の足元に弦が落ちているのが見えた。

まちがいなく、チェロ弦だった。

犯行に使われたものかもしれない。

誰かが私を、犯人に仕立て上げようとしている? いや、だとしたらいったい誰が……。

考えている時間はない。

私はすぐにコントラベーシストに「マネージャーから伝説の楽器の情報を得るのに失敗した」と連絡を送り、

チェロ弦と楽譜を回収して部屋を飛び出し、資料室へと駆け込んだ。

この楽譜を持っているのは、とても危険だ。

でも誰にも渡せない。

これさえあれば、私は先輩との愛を手に入れることができるかもしれないんだ。

チェロ弦をごみ箱に捨てた後、 楽譜はロッカーの中に隠した。 緊張と恐怖で震える身を抱え、しばらく身を潜めて固まっていた。

どれくらい時間がたっただろう…… 先輩の悲鳴がレッスン室の方角から響いてきた。

出ていくタイミングを見計らっている時、ふと机の上に資料室の鍵が置かれているのが 目に入った。

廊下に出て、 鍵を閉めた後、私はその鍵を窓から校舎裏の方へ投げ捨てた。

これで楽譜が見つかることはない。

最悪、鍵が回収されたとしても誰が外に捨てたのか、なんて水掛け論になるだけだ。

震える足に力を込めて、私は先輩のもとへ向かう。伝説の楽器を手に入れたことを 隠し通せれば、ずっと夢見てきたことが現実になる……だから、こんなところで しくじるわけにはいかない――。

時系列まとめ

【五限終了のチャイムが鳴った】

授業が終わり、ヴァイオリニストに会いに行った。

前日にマネージャーと行動していたことに関して質問したが「おまえには関係ない」と

言われ、やはりマネージャーとの間に何かあったのではと勘ぐった。

また、コントラベーシストと行動していることに注意され、キレて暴言を吐いて逃げた。

・少しして……

校舎裏までかけてきて、気持ちを落ち着かせ、中庭に向かった。

マネージャーとヴァイオリニストが話しているのを見かけ、再び校舎裏に逃げた。

【雨が降り始め、校舎を閉めるという放送が流れた】

しばらく校舎裏で気持ちを落ち着かせながら、クラスメートとのグループチャットで

コントラベーシストの悪口が書かれているのを確認した。

・少しして……

コントラベーシストから意味不明のメッセージが届いた。返信してみたが、反応はなかった。

お手洗いに行くと、男子トイレからビオリストが出てくるのが見えた。

お手洗いを済ませて、再び校舎裏へ。

【ピアノの演奏が始まった】

ピアノの演奏に聞きほれる。コントラベーシストから連絡が入り

マネージャーから伝説の楽器について情報を引き出すことになり、レッスン室に向かう。

・少しして……

レッスン室に向かっている最中に、ピアノの演奏が終わった。

少し躊躇して様子を伺った後、レッスン室に入ると、マネージャーの死体を発見した。

伝説の楽器の鍵になると思われる血塗れの楽譜と、凶器であると思われるチェロ弦を

回収して、資料室へ。楽譜を隠してチェロ弦をごみ箱に捨て、息をひそめた。

ヴァイオリニストの悲鳴が聞こえた】

悲鳴が聞こえたので、資料室から出て鍵を閉め、それを外に投げ捨てた。

レッスン室に向かうと、現場にはヴァイオリニストがいた。

全体MAP

あなたの秘密

① 私が伝説の楽器の鍵「血まみれの楽譜」を手に入れて隠したことを、バレてはいけない。

あなたの目的

① 自分が犯人として拘束されないこと

あなたは無実です。事件に関与していないことを証明するために、アリバイや証拠を集め、自分が犯人として疑われないように努力しましょう。他のプレイヤーにあなたのアリバイを確認させ、矛盾がないように注意しましょう。

② 犯人を見つけること

真犯人を見つけ出すことはあなたにとって重要な目標です。犯行の手法や動機を解明しましょう。

ヴァイオリニストが好きな相手を見つけること

あなたにとって、ヴァイオリニストが好きな人物に関しての情報は重要なことです。

④ 自分が「 血まみれの楽譜 」を回収したことを隠し通すこと

「 血まみれの楽譜 」を盗んだことがバレたら、何が起こるかわかりません。「伝説の楽器」は人を狂わせる、危険な道具だからです。

ただし、この楽譜は非常に管理が大変です。持ち続けることで自身に悪い影響があるかもしれません。信頼できる人へ、この楽譜のことを相談する必要があるかもしれません。

行動指針

ビオリストに「ヴァイオリニストが好きな相手」を探るよう協力を求めること

コントラベーシストは信用できず、ピアニストは話しづらい。頼ることができるのはビオリストくらい。

ゲームプレイのヒント

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SORMM Vol.02 ゴーストプレイヤー

あらすじ

エリート音学校「スクールオブロック(SOR)学園」には

世界を揺るがすほどの秘密が隠されている、という噂がある。

宇宙から飛来したという不思議な宝石を用いて作られた、伝説の七楽器――

伝説の楽器をすべて集めた者は、世界を思いのままに操る力を手に入れることができるという。

その伝説の楽器を集めたことで、学園はここまで大きくなったとのだという

しかし、伝説に語られる力は人に恵みを与えるだけではない。

大きすぎる力は、時に人を狂わせ、凄惨な事件を引き起こす。

それゆえに、血なまぐさい噂がSOR学園にははびこっているのだ。

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SOR学園の音楽祭といえば、「学園による音楽祭」としては世界最高峰である。

外部からの賓客は音楽界に強い影響を与える権力者、著名人ばかりであり、参加者は世界最高峰の演奏者達による「グループ」に限られる。

SOR音楽祭に参加した生徒は、それだけで未来の 音楽界を担う天才達であるという証明になる。

SOR学園の生徒6人組によって結成された音楽グループ「ゴーストプレイヤー」は、 最先端の音楽を、クラシックの奏法で表現することを目的としたグループだ。

グループ名は、SOR学園に伝わる怪談の一つ……誰もいない教室で 楽器を演奏するという「亡霊の演奏家≪ゴーストプレイヤー≫」にちなんでつけられた。

ピアニストヴァイオリニストチェリストビオリストコントラベーシスト

そして、彼らを統括する指揮者(マネージャー)の六人組。 演奏力だけではなく、見た目や 高いプロデュース力をもって、動画サイトで圧倒的な人気を博した「ゴーストプレイヤー」は 様々なコンサートにゲスト招待され、SOR音楽祭の出場グループへと選ばれるにいたった。

栄光の未来が約束されているはずの6人……しかし、ひとつの噂により状況は一変した。

マネージャーに関する悪評が広まったことでSOR音楽祭への出演が取り消されたのだった。

落胆する一同に、マネージャーは妙なことを言い始めた。

「伝説の楽器を手に入れる方法を発見した」

それは、SOR学園に伝えられる御伽噺(おとぎばなし)。

「手に入れれば、どんな願いも叶えられる」という、出所不明の都市伝説だった。

そんな「伝説の楽器」が手に入ったとマネージャーから連絡を受けた一同は、

ある大雨の日の放課後、グループの活動場所であるレッスン室に集められた。

そこで事件は起こった。

一番最初にレッスン室に入ったヴァイオリニストが、ピアノ盤に体を預けるようにして死んでいる マネージャーを発見したのだ。

響き渡る悲鳴を聞きつけ、メンバーがレッスン室に集まる。 マネージャーの死体を見て、パニックになった一同は、次々に悲鳴を上げる。

ピアニスト「なんで……なんでこんなこと!」

ビオリスト「首に傷が……殺されたんだ!」

そう叫んで、特にマネージャーと仲がいいピアニストビオリストが死体に駆け寄り、縋りつく。

チェリスト「あの……き、教員を呼んできたほうが……いいんじゃ……」

コントラベーシスト「この時間だぞ? それに、台風が近づいてきてるし、もう誰も残ってないはずだ」

ヴァイオリニスト「……まずは警察に電話だ。」

一番最初に動揺から抜け出したヴァイオリニストが、スマートフォンに手をかける。

しかし、その手をコントラベーシストが止めた。

コントラベーシスト「待てよ。警察を呼んだら現場検証やらなんやらが始まるんだろ? 伝説の楽器が手に入らなくなるかもしんねーぞ」

ヴァイオリニスト「……伝説の楽器、か。本当に、そんなものが現実に存在するのか」

ヴァイオリニストが眉をひそめる。言葉とは裏腹に、顔は少し色めき立っている。

チェリスト「でも……マネージャーさんを殺した人が、居るってことですよね?」

ピアニスト「もしかしたら、私たちの中の誰かが……」

全員が、全員の顔を見回し、お互いに一歩距離をとった。

ビオリスト「調べてみよう……犯人が、どこかに隠れているだけかもしれないから……」

ビオリストがそうつぶやき、皆が静かにうなずく。

しかし、皆の瞳には、どこか胡乱(うろん)な光が宿っていた。